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商人伝道師“水元 仁志”オフィシャルBLOG

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「ネットと折込み併用で、売り上げ3.5倍!!」

「ネットと折込み併用で、売り上げ3.5倍!!」

ネット媒体だけでは効果がない!
という記事。
すごく勉強になるので、お裾分け。
ただ、読売新聞社が主体の調査なので、、、。
少し、控えめに見る必要あるかな、、、、。笑


電波媒体や紙媒体から移行が進み、今やBtoC(消費者向け)マーケティングの核となりつつあるネット広告だが、そのコンバージョンと売り上げとは比例するのか。流通大手「カインズ」店舗などで実施した大規模調査から探った。
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近年、ネット広告の出稿量が伸長しているのは、リアルタイムの行動が可視化できること、クリック数などネット上の行動に応じたメニュー、課金手段が整い、企業の広告部門にとって扱いやすい媒体であることが大きい。

 これに対してテレビや紙媒体など従来型の広告媒体は、統計的に「広告を見たかもしれない」ことをゴールとし、それに応じた媒体料金を課金している。しかも、「見たかもしれない」は、過去実績からの推計に基づくものであり、企業の宣伝担当者がそのすべてを信用し、受容するにはかなりの寛容さが必要となっている。

 もちろんネットが広告媒体として理想的かといえば、それもまた疑問である。クリック数やコンバージョン率といったものは購買以前の中間指標であり、売り上げなどの営業成果との関係は依然としてブラックボックスの中にある。課金対象の行動だけが積み上がり、それなりの費用になったのに、実ビジネスへのインパクトが見えないという状況を経験した人も多いのではないか。広告のゴールと営業上のゴールとを一致させることができなければ、広告そのものが無駄な費用と断ぜざるを得なくなる。

カインズ、万田発酵のPOS、受注データを分析

 そこで2019年10月、私が代表を務めるタウマーケティングコンサルタンツ(東京・世田谷)は読売新聞社とともに「小売業、通販業における広告効果測定調査」を発表した。これはホームセンター大手のカインズ(埼玉県本庄市)、万田酵素で知られる健康食品メーカーの万田発酵(広島県尾道市)などの協力を得て、POSデータ、受注データといったリアルデータを広告投下にひも付けて、紙、電波媒体とネットの広告効果と比較したものだ。

 どれだけデータの収集・解析が進化、深化しても、POSデータ、受注データへのインパクトが見えずに、クリック率や視聴率などの広告計測で完結している限りは、その販売促進効果を正確には把握できない。こうしたことがつまびらかにされることで、逆に都合の悪い当事者も出てくるかもしれない。だが、企業と広告会社、媒体社は結果を恐れず、より透明性が高く、ロスの少ないマーケティングに挑むべきだと考える。

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図1と図2はカインズで実施したネットと折り込み広告との比較調査の結果だ。同規模の8店舗を2店舗ずつ、「折り込み広告だけを実施(折り込み)」「ネット広告だけを実施(Web)」「折り込み広告とネット広告両方を実施(折り込み+Web)」「広告を実施しない(無)」の4グループに分けて、同じ商品の売れ行きデータを毎日取得し、広告投下の前後週を含めて売り上げの変化を追跡した。

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広告対象の商品は高機能のフライパンで、広告では定価で訴求。値下げやキャンペーンなど、広告以外の売り上げに影響する要素が生じないように配慮した。Web広告は2月13日から2月25日まで実施。折り込みチラシは2月20日から2月26日まで実施した。その結果、ネットと折り込みの両方の広告を実施した店舗の売り上げが、広告を実施しない店の約3.5倍、折り込みだけを実施した店舗は、広告を実施しない店の約2.3倍となり、広告の販促効果が明確になった。

 しかしネット広告だけを投下した店舗では、ほとんど売り上げの伸長が見られなかった。こうした傾向はカインズだけのものではなく、高級スーパーマーケット「クイーンズ伊勢丹」で食品を対象にした別の調査でも見られた。

 新聞の定期購読者が減少傾向にあることから、折り込みチラシが届かない世帯が増えており、小売業では代替策としてさまざまなネット施策を強化している。この調査結果から得られる仮説は、(1)「折り込みの効果が頭打ちになっている店舗では、ネットを併用することで売り上げの上積みが期待できる」、(2)「折り込みをネットに単純に置き換えるのは、それまで折り込みで得られていた実績を下回る可能性が高い」ということである。

折り込みをネットに置き換えてはいけない「理由」とは

 (1)はごく自然な仮説だが、(2)は一見すると非合理に思えるかもしれない。だが、カスタマージャーニーを考えると、実に示唆に富んでいる仮説だといえる。

 まず、折り込みを閲覧して⾼機能フライパンに興味を持った⼈の中には、そのまま近隣の店舗へ買いに⾏く⼈もいるだろうが、さらに詳細な情報を調べるために、ネット検索などで情報を得ようとする⼈もいるだろう。折り込みとネットとを併用すると、情報を重層的に提供することができ、その結果、来店・購入意欲が高まるメディアミックス効果が働く。そのため、両⽅の広告を出稿した店が⼀番、売り上げが伸びたと考えられる=(1)。

 だが、ネット広告だけを実施した店では、広告を見て商品に興味を持ったとしても、他に重層的な情報提供がないために、ネットを離れてリアル店舗に来店・購入行動を促すには至らず、そのため売り上げが伸びなかったと考えられる=(2)。

 ネット専業であればデジタルの中で閉じたカスタマージャーニーで構わないが、リアル店舗を持つ⼩売業では、それぞれのメディアの役割を完全に理解した上で、相乗効果が得られるように広告を企画する必要がある。

 次に、万田発酵での調査結果を見てみよう。同社はここ数年、健康食品や化粧品の単品通販が飛躍的に伸長しており、顧客獲得の主戦場として広告を活発に利用している。具体的なビジネスフローとしては、広告でモニター募集を告知し、大きな割り引き、あるいは初回無料といったオファーで顧客予備軍を獲得。さらにメルマガ、DMなどの訴求で本商品の購入、いわゆる「引き上げ」に導き、定期購入などのリピーター化を図るのが一般的なスタイルである。

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 図3は、顧客獲得のいわゆる「入り口媒体」ごとに、広告投下から本商品購入までのリードタイムを見たものである。これによるとテレビ、ネットは顧客化までのスピードがかなり速く、それぞれ購入客の72.7%、62.4%が1カ月以内となっているのに対し、紙媒体では1カ月以内は半数にも届かず、長期間に分散している。

テレビでCMを見た顧客予備軍の人は、CMを視聴した直後に電話をかけてくる。ネットで広告を見た人は、その場でバナーなどをクリックすることで最初のレスポンスが起きる。こうしたことから、全体として顧客化がスピーディーに運ぶ。だが、紙媒体の場合は、広告接触のタイミングが必ずしも広告投下直後ではない。また、広告に対するレスポンスも、電話やネットアクセスも一定数あるが、かなりの割合でメールオーダーが含まれる。そのため顧客になるまでに時間がかかる。

 通販企業は、いうまでもなく投下広告に対するレスポンスデータを重要視している。だが、紙媒体を使う場合は、テレビやネットと異なり、かなりの時間経過を織り込んでデータを取得、追跡しないと広告効果を見誤ることになりかねない。

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 図4は、今回の調査における広告投下額、モニター獲得数、顧客化(商品購入者)数、収益効率(定期購入を含むLTV=顧客生涯価値)について、入り口媒体別にかけた費用の回帰効率として見たものである。

 広告投下額と収益効率との関係で見るとWeb広告が最も効率が高く(153)、テレビは最も低い(64)。これは視聴者層が幅広く、それゆえロスの大きいテレビと、セグメント配信されてロスの少ないWeb広告の特徴によるものだ。ところが、獲得したモニターから本商品の購入に引き上がる顧客化効率への推移を見ると、テレビは34から73と好転し、逆にWeb広告はは226から137と悪化してしまう。

 テレビによる通販広告の場合、通常はコールセンターのオペレーターが個別対応をする。このプロセスには多くのノウハウが蓄積されているため、本商品の購入に導きやすいと考えられる。

 一方、ネットの場合は、買い手の意思に大きく委ねられるため、クリエイティブなどを工夫しても、なかなか顧客化の効率を上げにくい。こうしたことから、テレビで出稿する場合は、コールセンターのサービス品質が、ネットの場合はLP(ランディングページ)やECサイト、MA(マーケティングオートメーション)などのアドテクというように、広告以外の設備、ノウハウ、運用力なども高めてバランスよく取り組む必要がある。

 新聞、折り込みなどの紙媒体による通販は(テレビのコールセンター、ネットのアドテクのような)広告以外の要因が介在する余地が少ないため、広告への投資に見合ったレスポンスや売り上げ効果を安定的に見込める。このように通販には絶対的な広告媒体は存在せず、各媒体の特性に加えて、企業の受注環境、設備、人材などを勘案した上で適切に広告手段を選択する柔軟性が必要になる。

 さて、ここまで見てきたように、ネット広告は、企業の広告活動に多くの選択肢、新しい可能性を提供しているが、それですべての広告課題が解決できるわけではない。広告活動は、消費者にメッセージを届けることがゴールではなく、購入行動などのリアクションを起こすことがゴールである。

 すべての消費財マーケティングにおいて、従来であれば断絶していた広告到達とそれが生み出す購買行動のデータ同士を、ネット、紙、電波横断で統合的に追跡する。それによりカスタマージャーニーのブランクになっていた部分を埋めることができれば、理想的なコミュニケーションデザインが可能になるはずである。

 企業のデータアナリストはデジタルマーケティングの分析官ではなく、さまざまな媒体の不ぞろいな特徴・役割に対し、その長所を引き出し組み合わせ、マーケティング活動全体の効率向上を実現することをミッションとして機能しなければならない。


by akindonet | 2020-01-14 15:00 | Comments(0)